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故・横澤信夫先生の放送劇用脚本『あの日あの時』


 2006年度、2007年度と岩手県大会の審査員を務めさせて頂き、横澤信夫先生にはそのときに大変お世話になりました。広い岩手県で集まることも難しいであろう各校の顧問の先生方が、横澤先生のお人柄に魅かれて集まり、温かみのある連携を取られているのが印象的でした。演劇部員である高校生はもちろん、顧問も育てていらっしゃるのだと感じました。

 その後も、東北大会の会場でお会いしておりましたが、あるとき、いつもの笑顔よりちょっと硬いお顔で、「これ、よかったら」と、封筒を渡されました。中には冊子とCDとお手紙が入っていました。



各位

 昨年の大地震と津波、あれからもうすぐ1年半になります。以前、大槌高校に勤務していた関係で、何度か大槌町に足を運んでいますが、町の状況はがれきは片付いたとはいっても復興にはまだまだという感じです。

 昨年の東日本大震災を「忘れないために、記憶に残すために、多くの人や後世に伝えるために」ということで放送劇ですが、今回北上市民劇場を支える会「やっぺし」を中心とした演劇仲間の協力により、第1話から第8話までを収録することが出来ました。より多くの皆様に聴いていただければ嬉しいです。

 今後、どのような形で進めることになるか分かりませんが、これまでまとめた脚本を「第1集」と位置付け、これからも放送劇の脚本という形で「第2集」以降も続けていこうと思っています。どこまで続くか、どこで息切れするのか分かりませんが、被災された方々の1日も早い復興を祈って書き続けていこうと思っております。


平成24年 8月

                                  横澤信夫


 新型コロナウイルス感染症拡大防止の緊急事態宣言で自粛中に、本棚にあったこの冊子を久しぶりに手にとりました。演劇部の部活動も世の中の演劇もままならない新しい災厄の時代だからこそ、東日本大震災を「忘れないために、記憶に残すために、多くの人や後世に伝えるために」故・横澤信夫先生が書かれた放送劇脚本を、この高校震災演劇アーカイブに載せて、これからも誰かが読む機会を作らなければと思いました。突然の連絡にも関わらず、快く掲載の許可をくださったご遺族に感謝申し上げます。  

                               工藤千夏

                                                                                        






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